駅員の敬語

部屋でなにげにテレビを付けたら、大阪駅の終電後の様子が流れていた。ロッカーのなかで寝ようとする人もいるんだあ。僕も駅の夜出の時には終電のあとのシャッター閉めをやったが、あの駅ではJRよりも先に西武の方が終電になる(0:49上石神井行各停)ので、ホームから改札の外への追い出しはあるが、駅の構内そのものからの追い出しはやったことない。

改札では、22時を過ぎてくると酔っぱらいの絡みが激しくなってくる。応対の基本はニコニコ追いやり、だ。駅としては、とにかく電車に乗せてしまえばこっちのもんだから、

「なんだあお前、堤義明になあ、よく言ッとけえ、むにゃむにゃ」

とかなんだか訳の分からないクレームを付けて来たときでも、 「はいはい(苦笑)」

とか言ってニコニコしながらとにかく電車に乗ってもらうことだ。

まあ酔っぱらいに限らずとも、文句を付けるだけのために駅員に詰め寄る人間は多い。たいていその多くは理不尽なクレームだ。まあ「クレーマー」ってやつだ。こういう客に対しては、丁寧な理詰めの説得こそが効果的であって、規則を盾にとってシャットアウトしてしまっては、その対応自体がクレームの口実になってしまう。だから丁寧・ニコニコというのは結構大事なことなのである。

ただ駅員って、どういうわけだかわからないのだけど基本的な敬語で応対しない人が結構多い。いろいろな鉄道を見てると、首都圏では西武はまだましな方だと思うが、それでもやっぱりいる。敬語を使って応対するだけで乗客が受けるイメージはずいぶん違う。「あんたズルやってるんちゃうん?」みたいな感じだと、正規の乗客が不愉快にならないはずがない。いらぬトラブルをここで未然に防ぐこともできるし、何より不正乗車を捕まえたとき、叱る口調に変えることで不正の自覚を乗客に持ってもらうことができる。

乗換改札という特殊な事情もあって、結構不正乗車は多いのだが、駅員が丁寧に応対すれば乗客も八つ当たりする口実がないから、素直に不足分を支払わざるをえない。結局は鉄道側にとっても乗客側にとっても良いことなのに、どうして敬語を使わないのだろう。まあ鉄道は、客商売とは言いながら、規則と安全が第一の商売だからなあ。