「新宿駅長」

日曜は学会に行った。朝はちょっと遅刻したけれど、一応午後の討論の最後までいて聞いていた。けれどその後はすぐ家に帰って明日締切の仕事。なんだか落ち着かなかったなあ。

月曜もお昼1時からのゼミだけ出て、後は締切間近の仕事をやる。まあなんとか提出できました。今回ぎりぎりになった敗因はやっぱり土・日がほぼつぶれたことだなあ。

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新宿駅長」

こんな様子なのに、日曜の夜はまたNHKアーカイブスを一本だけ見た。「新宿駅長」っていう番組。こんな現実逃避ばかりしてるから仕事が進まないんだよねえ。

たぶん輸送力の問題もあるんだろうけれど、今駅員が剥がす程の満員電車ってないんじゃないかなあ。もちろん詰め込みは今でもあると思うけれど、以前ほどにはひどくはなくなったと思うし。

国鉄における東京・上野・新宿駅長って言うと、社内でもかなり格の高い役職だと思うんだけれど、ほんとにその人が毎日毎日ラッシュアワーの指揮をしてたのかなあ。改良前の高○馬場駅乗換口では、朝のラッシュ時に改札への入場制限をしていたんだけれども、入場制限の指示を出していたのは助役で、それ以上の役職の人はあんまりでてこなかったんだけれどなあ。しかも高○馬場駅には駅長よりも上に管区長・副管区長というのがいて、管区長が実際には駅のトップだったから、たぶん新宿駅における駅長はかの駅の管区長に当たるんだとおもうんだけれど、その人は泊まり仕事はないし。ちなみに僕は助役の合図(ブザー)によってロープを階段に張って乗客を先に進ませない役目でした。

東京駅や新宿駅なんかに比べると明らかに社内における格が低いあの駅でさえそうなんだから、ああいう駅で駅長が毎日出てくるとはちょっと思えないんだけれども。駅長ってもっと事務仕事とか管理の仕事が多いし。やっぱ現業はもっと下の方に任せるでしょ、普通は。

あと、これは単なる思いこみなのかも知れないけれど、番組を見ていてなんだか今よりも随分、「9時までに会社に行かなくちゃ」という圧力が高いような気がした。この番組が作られた頃ってまだオイルショックも迎えてない、高度経済成長の道をまっしぐらに進んでいた頃のことだから、当然フレックスもないという制度的なもんはあるだろう。また、輸送力を増強して一旦は混雑率が下がってもそのうちにまた上昇する、というような、東京への人口集中が続いていたことも確かだ。けれどそれだけじゃなくて、現代ではそれほど感じることの少ない、「世間」的な圧力が今よりもずっと高いように感じられた。剥がさなくちゃならないほどの殺人的なラッシュが、なんとなくその象徴のように思えてきた。

実際、ラッシュはいつまで続くんだろうかとか番組のナレータが言っていたけれども、今ではもはやあんなラッシュないし。高度成長がずっと続いてればラッシュもひどくなるだろうけれど、現実にはそんなことはなかったわけだ。

実はこういう感覚は土曜日の「就職戦線」を見たときにも感じていた。一生その会社で働かなくちゃいけないとか、マスコミに就職すると生涯賃金がどうだとか、そういう「世間」の常識に対して映画の中での彼らは一応結果的にはそれに反する行動をするんだけれど、「反する」前提としての常識そのものが、今はもうかなり崩れてきてるんだよなあ。生涯賃金とかって言う人、もうあんまりいないし。リストラされたら生涯賃金の計算なんてあっという間に無駄になるもんなあ。

今感じてる「常識」なんて、10年とか20年とか経つともはやちっとも常識ではなくなるものなのなんだろう。