余裕

今日の夜、帰りの電車の中。
「もうすぐ、○○、○○~」
という車内放送が流れていたとき、僕の右やや後ろに女の人が近づいた。年はたぶん25位だろう。彼女が降りようとしてドアの近くに来たことは僕にもわかった。車内放送と同時に、ドア付近に立っていた人たちが一斉に降り支度を始めたので、その辺にいる人たちはみんな次の駅で降りるということは雰囲気ですぐに察知できるはずの状況だった。

しかし彼女はドアの前まで進もうとして、僕の体を押してくる。まるでおばさんの行動だ。ちょっと気になったが、まあ彼女がドアの前に行けるほど車内はすいていなかったので、彼女もあきらめたのだと思った。

だが、ドアが開くと彼女は、僕を押しのけて電車から降りた。さすがにこれにはムッときた。彼女は向かい側のホームに停まっている各駅停車にずんずんと乗り込み、席を確保した。僕も彼女の向かいの席を確保することができた。

彼女は席に座ったと思うやいなや、睡眠モードに入った。目をつぶっている、という程度ではなく、明らかに熟睡しているようだ。足もだらりと開いている。


思うに彼女はきっと眠くて、各停でなんとしても眠りたかったのだろう。その気持ちはわかる。ただその行動を外から観察すると、ものすごく余裕がないように見えた。おそらく本人は、早くドアに近づきたくて僕の体を押していたことも、僕を押しのけてまでドアを飛び出したことも、あまり意識していないのではないか。

自分に余裕がない、追いつめられている状態というのは、他の人から見るとこのように見えるのだろうか。