「罪と罰」

というタイトルの椎名林檎のマキシシングルが26日に発売される。「ギブス」と同時発売なのだが、僕は曲的には「罪と罰」の方が好みだ。以前にも書いた、福岡のCROSS-FMで元旦に流れた「椎名林檎の悦楽巡回(パトロール)」の録音ですでに曲自体は聴いたのだが、またしても「あ、やられた」と思ってしまった。いやあ、いいよ、これ。


僕は、基本的には音楽というものは個人で聴くものだと思っている。それは僕の音楽の聴き方そのものにも関わってくるのだが、直接的な理由としては高校の頃、僕と同じジャンルの音楽を聴いていた友人がほとんど周囲にいなかったことによるだろう。

最近椎名林檎を聴くようになって一番戸惑ったことは、じつは彼女の曲がコンビニで流れていたり、TBSのCDTVみたいな歌番組でしょっちゅう流れることだった。僕にとっての音楽というものは非常に極私的な存在で、自分が能動的に動かなければ決して味わうことのできないものだったのに、それがいきなり何の気なしに入ったコンビニで流れていることに面食らうのである。

最近はカラオケに行ったときにも椎名林檎を歌ったりするが、それは自分が知っているから歌うのであって、決して椎名林檎の曲を覚えて歌うことが目的なのではない(うさたろうのカラオケを知っているあなた、僕が10曲続けて林檎の曲を歌ったからと言って誤解しないように!)。

だから、椎名林檎がコンサート「下克上エクスタシー」をやる、という時にすなおに行ってよいものかどうか、実はちょっと迷っている。僕の中で彼女の曲を聴くことによって構成されてきたイメージが、コンサートに行くことで逆に崩されるのではないか、という心配があるからだ。

僕にとっての椎名林檎はあくまでアーティストとして存在している。そしてアーティストとして質の高い曲を提供し続ける限りにおいて、彼女がどんな風体をしていようが美人だろうが不細工だろうか関係ない。それが逆に生の彼女を見ることによって、僕の曲の解釈が限定されてしまうかもしれないという怖れがあるのだ。

ま、切符が取れるということを前提にしての話なんだけどね。チケットが取れなきゃ単なる負け惜しみだな、こりゃ。