電波

この間の停電のことはWeb上でも多くの人が言及しているようだが、停電が広範囲かつ大規模であることを知ったのはどのメディアによってだっただろうか。

僕が今回の停電を初めて知ったのは友人の電話によってであった。確かにテレビの主電源のランプもついていないし、冷蔵庫も動いていない。停電しているようだ。当然のことながらその友人宅も停電しているので、電気を使って受信するメディアの情報は入らない。僕はさっそく、数年に一度しか使わない携帯ラジオの電池を入れ替え、スイッチをオンにしてみたのだが、通常通りのんびりと音楽を流していたりして一向に情報が流れてこない。そればかりか、電波の調子が悪く雑音が混じるありさまであった。

5分ほどしてようやく東京西部・埼玉西部が停電していること、この停電によって鉄道にも影響が出ていることが伝えられたのだが、それから時をおかずに復旧したのでテレビなども受信できるようになった。とはいえ、やはりテレビは通常番組であり、停電情報を詳しく報じていたのは吉祥寺にスタジオがあるらしいFMラジオ局だった。

実は電気が通じたことで気付いたのだが、停電の時、放送されているラジオの電波もどうやら弱まっていたことが、電気復旧後クリアにラジオを受信できたことからわかった。おそらくラジオ電波を発信している電波塔も停電の影響で電波を発信できなくなっていたのではないか。停電は、思いも寄らない所にも影響を及ぼしていたようだ。

阪神大震災で神戸の人が訴えていたように、大きなマスコミほどこういう状況下では役に立たないということが、実感として理解できた。しかもテレビは電気がないと使えないので、全く役に立たないのだ。ただラジオも、電波が発信できなければ結局同じなのである。

電気がなければ電波を発信できない。よく考えれば当たり前のことなのだが、改めて体験しなければ気づかないことというのは、意外と身のまわりには多いのかも知れない。