NHKの普天間基地返還交渉問題特集

9時からは沖縄の普天間基地返還交渉問題の特集。夕飯を作りながらだったので全部をきちんと見たわけではないが、感想として、日本は完全に防衛構想をアメリカに頼り切っているなあ、と感じた。

 

太田知事から橋本首相に普天間をなんとかしてくれという具体的な要請を受け、首脳会談の場で橋本氏が切り出したことに始まった普天間返還交渉。普天間を嘉手納に統合できないかとする日本側に対し、アメリカ側は普天間の返還に応じようとはしない。これまで日本側に説明していなかった普天間基地の機能を詳細に説明した上で、普天間は縮小することなどできないとするアメリカ側に対して、日本は反論できない。結局中台危機に際して日米間の緊密さをアピールするために、危機にむしろ逆行して、アメリカ側は普天間返還に合意する。

しかしやはり、普天間の「機能」は縮小できないとして、海上ヘリポート構想へとつながっていく。

 

この流れを見ていると、これだけの戦力が必要だというアメリカ側の主張に対し、日本側は全く反論できていないことがわかる。例えるならば、値段はアメリカの言い値でしかなく、ただ支払いをクレジットカードにするのかキャッシュにするのか、といったような交渉だ。普天間が返還される方向に転換したのだって、純粋にアメリカの政治的判断によっている。

もちろん、これまでアメリカが沖縄の基地の機能を説明してこなかったということもあるけれど、その「説明」だって結局はアメリカ側の言い値でしかない。日本が独自に情勢を分析して、こうこうだから普天間の機能は縮小して嘉手納に統合してもいいはずだ、という議論はできていないようだった。

軍事的戦略的な議論というと、どうしても軍事力を維持もしくは増強する方向に話が流れて行って、軍事力を削減する方向での話にはなりにくい。けれども日本が本気で沖縄の基地を縮小しようと思うのならば、独自に情勢を分析して、軍事力を暫時削減していく方向での議論を提起する必要があると思う。そしてそのためには日本独自の防衛や外交に関する思想が必要になるだろう。アメリカはその立場上、軍事力を削減すると自分から言い出すはずはない。

こうしてみると、日本は防衛の思想や戦力をアメリカに頼る代償として、「米軍基地」という植民地の返還交渉を放棄しているように思えてきた。必ずしも、アメリカのいうだけの戦力がないと日本が攻撃されるのかどうかなんてわからない。むしろ米軍がいるから他の国が戦力を維持し続けている、ということもあるわけだし。