旧長崎刑務所見学。

とりあえず写真だけアップした旧長崎刑務所一般公開の見学記を。写真はこっちにも再掲します。

長崎新聞の記事で旧長崎刑務所が再開発のため解体され、その前に一般公開されるという記事を『長崎新聞』で目にし、考えていた予定を変更して見学に行くことを即決した。

前回も書いたけど、長崎刑務所は明治期に建設された五大監獄の一つで、1907年に山下啓次郎の設計により建設された。1991年に刑務所が移転したあと、地元でも用地の買収などを試みたようだが、結局金額面から買収することができず、15年ものあいだ放置された。先頃国有地売却によって東京の民間会社に売却され、解体されることが決まったらしい*1

午前10時からだということだったが、10時前にすでに受付を開始していた。僕らも受付をすませ、案内してくれるボランティアの方とともに建物内へ入る。

まず正面の庁舎から中に入り、放射状に伸びる獄舎の中を進む。屋根は木造なのでそれなりに痛んでおり、屋根が落ちているところもあった。だが煉瓦は非常に美しく、案内の方もヒビ一つ入っていないことを誇らしげに説明していた。

とくに保存状態が良かったのは、獄舎から少し離れた拘置所棟だった。外壁のみならず内壁も煉瓦で作られているのだが、実に煉瓦が綺麗で、まるで復元建築であるかのように、ヒビどころかほとんど汚れもなかった。

受刑者に労働をさせる工場も、比較的よく残っていた。工具や機械類はすべて持ち出されていたが、機械油の匂いが、そこが昔工場であったことを物語る。よく見ると、工場関係の標語や注意書きのようなものも残されている。

病院棟も、保存状態は非常に良かった。ここは、医局に当たる部分は新しい建物で、「白い巨塔」に出てきそうな手術室のサインなどが印象的だった。だが病院棟自体はやはり明治期の煉瓦建築で、内部が白く塗られていたのが印象的だった。

食堂や倉庫なども残されていた。食糧庫の中には、「徳用上米」や「醤油」と書かれた札が残されていた。

*1:どうも国有地売却の際、都市計画学系の人が個人的な意見としてこの建築の貴重さを指摘したらしいが、どうにもならなかったらしい。ここら辺のPDFの15ページあたりを参照