九州国立博物館。

ということで、いくつか博物館の感想をば。最初は去年開館した九博。

西鉄太宰府駅からは二つのアプローチがあり、一つは天満宮方面からのメインルート、もう一つは光明禅寺を通る”搦手”ルート。足の弱い人などはエスカレータ設備などバリアフリーのメインルートの方がよいけれど、今回初詣で天満宮方面の大混雑が予想されたので、搦手から向かう。

建物は、おそらく周囲の自然や歴史的環境に配慮してなのか、正面はガラス張り、側面の屋根が見える方も、アプローチのついている方からは目立たないような設計になっている。

内部は大きな体育館のような造りで、1階がエントランス、2階に特別展用の展示室、3階が常設展の展示室。僕らは常設展のみ見学。

展示は同心円状に配置されていて、中心部が展示のエッセンス、その外側がメイン展示、さらにその外側にはテーマ展示やコレクションの展示、といった構成。展示品は、東博や京博などと同じく、原則として原品主義を取っていて、歴博のような複製方式ではない。あくまで国立博物館なのだから、やはり歴史博物館のようにレプリカを置くのではなく、本物を見てもらいたいという狙いが見てとれる。

展示内容は、九州という地理的特徴を生かし、九州とアジアをテーマとした展示品が並ぶ。原品主義だととにかくその展示物ひとつを見せるという傾向になりがちだけれど、ある程度のテーマ設定の上で本物を見せていくというやり方はいい展示方法だと感じられた。それからこれは原品ではないけれど、遣唐使のもたらした文物を手で触れるようにしてあり、なかでも香木などの匂いを嗅げるのは、博物館でしかできない体験であり、展示の工夫が感じられた。また、時期・地域的な変遷を理解できるような仏像の並べ方などもよかったと思う。

ただ、所蔵品はやはり九博独自のものはそれほど多くなく、コレクションの蒐集はこれからも続くのだなという気がした。それとも、いろんな所蔵者から展示物を借りてくる方式をとるのかな。

ひとつ展示で気になったのが、展示物名などのキャプション。美術史学で行われているような名付けではなく、より一般的な名称を与えることによって、展示品に関するわかりやすい理解を与えようとしている工夫が見られた。そのこと自体はよかったのだけれど、その展示品がどういうものなのかという情報は、基本的には従来型の専門的な名付けに組み込まれているわけだし、その展示物の固有名だってあるのだろうから、小さくてもいいから併記して欲しかった。

もう一つ、これは特に相方さんの感想なんだけれど、展示室が結構広くて展示物も多い割に、休憩するスペースが少ないように感じられた。またいったん展示室に入ってしまうと、飲み物を飲めるところもないので、じっくり見ていくと、一般の人は疲れて途中で出てきてしまうんじゃないかな。出入りが自由なのかどうかもわからなかったし、子どもやお年寄りは一度にそんなに長時間見学することはできないから、このあたりは、見学者への配慮がもう少し必要だろうと思う。

しかし概していい博物館だと思うし、ここまで圧倒的な物量を誇る博物館は九州にはなかったと思うから、この館が九州の歴史的・文化的情報の発信基地になって行ければいいと願う。