「民営化」って。

ただ、郵政民営化だって、民営化してサービスがどうのということが目的ではなく、郵貯資金を市場に流入させることが最大の目的のようだ。で、新生銀行の例を見てもわかるように、そういう資金は欧米の金融資本が虎視眈々と狙っている。

まだ郵貯の組織がしっかりしていればいいけれど、それが崩壊すると、銀行などの金融企業はおそらく資産をもつ高額所得者中心に商品を提供するようになり、低所得者向けの金融商品はコストばかりかかるから撤退するようになるだろう。となると、低所得者はタンス預金しかできなくなって資金が死蔵され、一方で富める者は資金を運用してますます富む、そんな社会になるんじゃないのかなあ。

小泉構造改革っていうのが、一見これまで旨い汁を吸ってきた特権階級を突き崩すように見えながら、その実、新興の富裕層にとって有利な条件を次々と整えており、機会均等と自由のみを重視する、いわゆる「不平等社会」を目指しているようにしか思えない。

自民党という組織そのものが巨大な既得権益の象徴だったから、それを壊すこと自体に意味があったとは思うんだけれど、これ以上日本ネオコンが支配権を握ると、「不平等社会」がなんとなくのレベルではなく明瞭に姿を現すんじゃないのかな。その時になって「小泉はヤバかった」なんて言ってももう手遅れだろうけれど。