車両の軽量化と耐久性。

朝、仕事に行く直前、10時ごろだと思うんだけれど、天気予報を見ようと民放からNHKにチャンネルを変えたら、なんだか事故現場から中継してる。よく見ると脱線とか言ってる。で、ヘリからの画像を見ると、アルミステンレス製の車両が建物に巻き付いてる。「え!」これは大惨事だなと思いながら、仕事場へ向かった。

あとで人に言われてニュースを見て確認したんだけれど、僕が最初に見てた巻き付いた車体は実は2両目で、さらに1両目がマンションの中に入り込んでいる、とのこと。ちょっと想像もできないような大事故になってしまっていた。まだ救出できていない人もいるようで、ほんとに一刻も早く救い出してもらいたい。


ところで、鉄道事故で最近気になるのは、日比谷線の事故でもそうだったんだけれど、アルミステンレス製の車体のあまりの脆さだ。

最近の電車の車両は、高速化とメンテナンス簡略化のために、軽量化された車体が非常に多くなっている。それが普段運用されている分には問題なくって、軽いから高速運転が可能になるのはもちろん、成型も簡単だろうしメンテナンスも簡単で、錆びないから維持のための経費もかからない。いいことずくめのように思えるんだけれど、何かあるとほんとうに脆い。

安全は、鉄道事業にとって運賃よりも早さよりも、何にもまして優先されるべき事項だ。脱線なんてことを想定して車両を設計するのは確かに非効率的だ。けれども、そのための数十億円のコストよりも、10年・20年という車両運用のなかで乗客を守りきるということの方が重要なはずだ。そろそろ軽量化車両も、そういうことを考える時期なんじゃないかという気がする。

写真は肥薩線嘉例川駅。昔の鉄道車両や設備が現代と比べて安全だったなんてことは全然思わないけれど、昔に比べて今は、システムに依存して安全を確保しようとする動きはあると思う。システムの予期しない事態において、あっけなくも崩壊してしまう安全。昔の鉄道の頑丈さを今改めて見つめることで、システムに依存した安全の脆さを、もう一度認識する必要があるんじゃないだろうか。