ポール牧さん。

駅のスポーツ紙の広告でその見出しを見て、ちょっと、というか、かなりショックを受けた。え、まさか、という気持ち。でもその一方で、飛び降りてしまって、「ああ、終わりかな」という気持ちも、なんとなくわからないでもなかった。

陳腐でありきたりな表現だけれども、人は何かしら心の中に闇を抱えていて、それがどうしようもなくなった時、飛び降りちゃったりするんだろうな、という気がしてる。飛び降りないに越したことはないけれど、でも、そうせざるを得ない、そういう風にしかもう考えられなくなってしまうことも、あるのかもしれない。

もちろん他者としては、そういう行動はなんとしてでも食い止めたいのだけれど……そういう風にしか思えなくなってしまうことが、たぶん彼の入り込んでしまった心の闇、なのだろう。

そういう心の闇を抱えていることと、みずから終焉を選んでしまうこととのあいだには、幾ばくかの距離、近いように見えて、でもそれほどには近くもない距離があると思う。思うけれども、そういう心の闇も、そしてそういう道を選んでしまわざるをえないことも、今の僕には、なんとなくわかるような気がする。そういう希薄な共感が、わずかながらでも苦しんでいる人の助けになればと思うのだけれど、きっとそれはそれで、難しいのだろうな。