某学部の再編問題。

いきなり朝●新聞にすっぱ抜かれててちょっと笑ってしまった。まだ記者会見もなんにもなく、しかも他のニュースサイトなどには見当たらないので、朝●新聞のスクープなのだろう。

さすがに内部の具体的なことについてここに書くわけにはいかないけれど、記事の内容のみで僕の専門の立場から一般的な感想を言うならば、文学部ったって、別にLiteratureの文学だけやってるわけじゃなくって、哲学とか歴史学とかそういうのも含めての文学部だった。

それがああいう形で基礎分野と応用分野(?)が学部として分けられてしまうことによって、もちろんいい面もあるだろうし、応用分野にとってはいろんな試みを自由にやれるというメリットも出てくるだろう。

ただその一方で、基礎分野の地道な作業と応用分野の新しい視点・発想といったもののなかから学問を目指そうとする学生に対し、どういうコースが用意されるのかが、ちょっと気になった。

最初から「文学部」を目指してくる学生に斬新さがないとは言わないけれど、学問の再生産という観点から考えるならば、旧来のままの「文学部」に所属する学生は既存の学問的枠組への疑念を抱かないままどんどん縮小再生産を繰り返していくような気もするし、一方で「文化構想学部」に所属する学生は基礎学としての人文学の素養が身に付かないまま上澄みだけを摂取して終わってしまうような気もする。

一人の学生が、この日は現代演劇のワークショップに参加し、別の日には平家物語の講読演習に参加する、こういう学問のあり方、あるいは多様性と言い換えてもいいけれど、それが許されることこそが、文学部のいいところなんじゃないかな。

もちろん専門性を高めることも大事だけれど、それをカリキュラムとしてがっちり固めてしまうべきじゃなくって、あくまでも個々人の選択に任せるべきだろうし、そういった多様性を許容するのが望ましいと思う。

現実にどういうカリキュラム編成をやっていくのかは知らないけれど、せっかく再編するんなら、あんまり基礎と応用を際だたせるようにするのではなく、多様なカリキュラムを選び取ることができるような体制を作っていってほしいと思う。