現地に行くということ。

僕は、基本的には研究対象となる神社やお寺、荘園の故地などには、ほぼ必ず一度は訪れる方だ。もちろん、単なる気休めかもしれないけれど、現地に行かないと得られない情報もあるし、現地に行くことによって湧いてくるイメージもある。

そういう性向が、どちらかというと僕の研究を個別研究的な方向に向かわせるのかもしれなくて。

全体を見渡すような議論の重要性を僕自身が軽く見ているわけでは決してなくって、むしろそういう論文を書きたいとは常に考えている。でも、そのために現地の感覚やイメージといったものをおろそかにしたくはない。その土地で生まれ、暮らし、死んでいく人たちの営みの痕跡として、今に歴史的な遺跡や遺構・遺物があるわけだから、それをこの目で見るということは、やっぱり大切にしていきたい。