日島中世墳墓群。

特に印象に残ったのは日島の墳墓群だった。今は人口よりも野生の鹿の数の方が多く、33年に一度開帳される秘仏のある寺と神社、そして海の安全を見守るかのごとく岬の高台に建つ宝篋印塔があるくらいの小さな島。今ではもう防波堤によって対岸の大きな島と陸続きになってしまった、外海に面した小島。

けれどもそこには、現在の島の人口規模からはまったく考えられないくらいの、大量の石造物群が並ぶ。それは実に壮観な姿だった。この地に、中世において多くの人口を要するだけの「何か」があったのだろう。その「何か」は、文献にはたいしてその内実を記されることもなく消えていった。

日島ほどの大規模墳墓群は上五島には他には存在しないようだけれども、もう少し小さな規模の中世墳墓群はいくつかあって、この地がけっこう繁栄してたことをうかがわせる。

ちなみに写真はそのほんの一部。全体を示す写真も、そのうちアップする予定。