報告会。

午後は、某プロジェクトの報告会。後輩が報告するということなので参加した。

報告の方は…後輩も此処見てるので書きづらいんだけれど(笑)、ある史料、というか文書の残存状況そのものの指摘は、けっこうおもしろい事実を発見したなと思った。ただ、それを軸に議論を立ち上げるのであれば、相当周到な古文書学的分析が必要になる。とくに伝来論を意識した分析は、必要だと思った。

今回の報告の場は、そういう中世史学の人たちがあまりいない場だったから、その辺を端折ったこと自体は、あの場での報告としては問題だとは思わないけれど、手続としてはやっぱりそういう実証的な検討が必要になるだろうなあ。


最初の人のは、途中からしか聞けなかったのでだいたいのプロットをつかむ程度で終わっちゃった。で、最後の人は、植民地時代朝鮮の考古学の研究者であった人を取り上げた報告。その人が大学の研究者というアカデミズムの立場で、民間業者や収集家(日本人)の現地における遺物収集を認めてしまったことによって、盗掘を促進する結果になったっていう点はおもしろかった。その人も指摘していたけれど、アンコールワットなどの遺跡群も、アカデミズムの動きが遺物の商品化をもたらし、結果的には遺跡の破壊を招いている、そういう現代的な問題とも繋がるようだ。

ただ、それが植民地的な研究状況を示すものかといえば、直接的には必ずしもそうは言えないような気がする。遺物の商品化はむしろ、宗主国、現代なら先進国と、植民地ないし途上国との経済格差に求められる問題だと思うし、その裏返しとしてバーミヤンの大仏破壊なども起こってしまったんだと思う。そういうこともトータルに考えた上での植民地問題だということなら、別に異存はないけれど。