研究系のできごと。

先月末の報告は、研究史整理的な報告をした。僕のやっている中世神社史研究というのは、世上の関心とは異なり、率直に言ってきわめて研究の遅れている分野で、実証的な蓄積そのものが足りない。そういうなかでオカルト系や、宗教的立場だと言わざるをえない「神道」的な言説が幅をきかせている。歴史学的な切り込みがどうしても必要なんだけれど、そこに歴史学的に切り込もうとして研究を進めている研究者はごくわずかだ。数年前には中世神社研究が一時盛り上がりを見せたんだけれど、その後も歴史学的立場から神社研究を意識して続けているのは、盛り上がりの中心となった研究会を主催し、今でも精力的に中世神社研究を進めている大家の研究者の方くらいだ。

そういうなかでの先月末の研究史整理は、その大家の研究者の方に対する、僕なりの批判的立場からの研究史のとらえ直しと論点や今後の課題を提示した。そしてその方を招いた研究会が先週土曜にあった。僕は相変わらずその方の研究内容には批判的スタンスなのだが、僕のような若手からの批判に対してもきちんと言及するその人の研究姿勢自体には、尊敬の念を持っている。なんか、全体として「紳士」な感じなんだよなあ。見た目もダンディな感じだし。

関西の方には、僕よりもう少し若手で、研究内容はその大家の人の方向で研究しようとしている人もいるのだが、僕は、やはり研究内容としては異なる立場をきちんと打ち出していきたい。さまざまな研究的立場があって、結局はそれが、歴史学的な中世神社研究そのものの活性化につながると思うからだ。

今度の水曜の報告は、そういう意味ではやや論争的な報告として位置づけたいと考えている。去年ゼミでやった報告の序論と結論部分を手直しして現在の僕の研究上のスタンスに位置づけ直すくらいなので、作業そのものを一からやる必要はないのだが、僕の研究のスタンスを明示するようなまとめ方に手直ししたいと考えている。

なんかめずらしく、研究系のことを書いたなあ。