NHK「証言記録 兵士たちの戦争」

今晩やってたのは、マニラ市街戦ガダルカナル島。前者は、1945年1月の、マニラに立て籠もる日本軍とそれを攻略する米軍との戦い、後者は有名な1942年のガダルカナル島の戦い。1945年当時はもうすでに物資もなかったから、こういう悲惨な戦い方しかできなかったのは、まだ理解の余地がある。けれども1942年の段階で、米軍相手に稚拙な白兵戦術にこだわる戦い方で甚大な犠牲者*1を出してしまっているというのは、もう何か根本的に間違っていたとしか言いようがないな。

やっぱり戦争の現実は将校や政治家の話ではなく、兵士や下士官の話のなかに見えてくるんだという思いを新たにした。この人たちだって、生き延びたからには何かしらの理由があったわけで、こうした人々の語る悲惨な話のなかに、かろうじて戦場の現実が垣間見える、ということなのだろう。

ところでふと思ったんだけれど、日本が第一次大戦による戦争の質的な転換を認識していなかったということが、こうした稚拙な作戦が繰り返され貴重な人命が無駄に失われていったことにつながっているんじゃないのかなという気がした。そしてこれは、同じく第一次大戦を経て帝国主義の時代が終わったことを日本が認識できず、帝国主義的拡張政策を全面展開して大失敗したのとパラレルな関係になっているように思われた。

*1:75%から80%の人々。ちなみに一般的には兵力の3割損耗で「全滅」、5割で「壊滅」というらしい。