突然ホットエントリに

もう4年、いや、四捨五入すると5年近く前に書いたこの記事http://d.hatena.ne.jp/usataro/20060408/p2が、突然はてなブックマークのホットエントリに入ってびっくりしている。

正直この頃は経済学的な考え方をそこまで知らなかったので、この土居氏の議論はほんとに驚きだった。今なら、少なくともこのJMMの記事はやや慎重な書きぶりだなということもわかるし、中山間地域の問題と地方の「郊外」地域の問題との切り分けが必要なことも指摘できる。で、確かにこの記事だとそこら辺がごちゃっとなっちゃってるんだよな。現在の僕の考えは以下の記事を参照してほしい。
地方都市の問題と限界集落の問題http://d.hatena.ne.jp/usataro/20080210/p2
地方都市の問題と限界集落の問題(その2)http://d.hatena.ne.jp/usataro/20080211/p1

で、ブクマコメント見てると、けっこう意見が極端に分かれてることに気づかされる。というか、東京至上主義者の極論が目立つだけかもしれないが。

そういう人は、地方のこと全く知らないか、もしくは地場産業化した公共事業のことしか見てない人なんだろう。前者は論外だが、後者については、たぶんそこまで僕と意見は違わないと思う。正直僕だって、諫早湾干拓長崎新幹線も不要だと思ってるし、それで生み出される雇用なんて、所詮はカンフル剤にしかならないだろう。僕自身はコンパクトシティ化にもある程度は賛成だ。

だから、従来型の公共事業のような形での税金の投下は必要ないと思うけれど、上の土居氏が別のところで言ってるのは、中山間地域のような過疎地域に住んでる高齢者なんてのは「経済学的には贅沢」だから移住させろってな話だからね。いくら財政危機だからって、さすがに本当にそこまで危機が及んでるのかというのが、上で紹介したエントリの骨子だ。

日本各地で数百年も続いてきた村落を、巨額だとはいえ、たかだか現代史の一局面でしかない財政赤字を理由に消滅させちゃっていいんだろうか。それこそ日本の国土のあり方そのものに関わる、100年や200年単位で考えなくちゃいけない問題だろう。件の経済学者が、そうした長期的スパンでの政策決定であることをどこまで意識して発言してるんだろうかと考えると、甚だ疑問なのだ。政策決定にも携わる立場にある人間の議論としては、明らかに暴論だろう。

中心商店街の空洞化に象徴される、地方都市における郊外化の話も、上のエントリに書いている。本当に東京しか知らない人は、たぶんこの話と過疎集落の話とを混同してるんだろうと思うが、両者は問題の位相も対策も別なので、きちんと議論を切り分けた方がいい。で、土居氏の話は、公共事業漬けの地方経済の話としてなら、それなりに聞くべきところもあると思うのだが、なにせ経済学万能主義で生活者の実感が欠如しているために、両者を切り分けて認識できていないところに根本的な欠陥があるのではないかと思う。

あともう一つ、参考までに。
引っ越しなんて簡単にできないhttp://d.hatena.ne.jp/usataro/20080227/p2