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タイムスクープハンター第2部

今日はNHKのタイムスクープハンター2nd stage「室町飢饉(ききん)救援隊」を見た。このシリーズ、以前たまたま夜に見たのだが、これまでの歴史系番組にありがちな英雄史観歴史小説的な話とは一線を画していて、一般的にはあまり知られていない、当時の社会の事象を取り上げているという番組。設定自体は、未来の「タイムスクープハンター社」による取材内容というフィクションの形を取っているのだが、その試みがそこそこ成功している。

今回の内容は、室町期の飢饉がテーマ。すでに日本中世史では知られていることだが、中世の飢饉は単なる凶作だけが原因なのではなく、物資を年貢などの形で領主の集住する京都に集める社会構造、またその物資が商品として流通していく経済構造に起因している。要するに富の分配をめぐる問題という、きわめて現代的な問題関心に連なっている研究テーマだといえる。

この番組では、京都でしばしば行われた、貧者への施しである「施行」に注目し、施行を担当する武士と、飢えに苦しむと市民、そして蕩尽に明け暮れる領主たちという構図が描かれる。『看聞日記』にも記される、応永の飢饉に際しての施行が「取材」の舞台となっている。施行を担当する武士があまりに理想主義的に描かれているのは、番組の演出上仕方のないところではあろうが、領主の邸宅ではさんざん飲んで食べては吐き、また食べるといった無茶な宴会が繰り広げられているのに、その塀を一歩外に出ると飢えた人々が彷徨っているという、室町時代の京都の異様な様相がなかなかうまく描かれていた。

テレビでの歴史系番組だと、どうしても坂本龍馬武田信玄だといった人物中心になりがちだし、そしてそうした番組は歴史小説などで流布している既知のイメージを知識で補強するといった流れに陥りやすい。その点この番組は、架空の取材という形式を取っているがゆえに、テーマ設定自体に意外性があり、そのため学術的な歴史研究の成果を生かしやすいというメリットがあるように感じた。