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地方の自民党はこれからどうなるのだろうか。

すでに旧聞に属するが、民主の大勝。注目の長崎2区は、実家のある地域だった。しかも勝利した福田陣営が記者会見した特設会場は、実家のすぐ近くだったようで、そこにびっくりだった。

それにしてもあの選挙区で民主が勝利したというのには、さすがに僕もけっこう驚いた。諫早や島原といった地域はずっと自民党で、最後まで自民党が死守すると思っていた。現に、もともと民主が強かった長崎1区以外は民主と自民との差は小さい。そういう中で久間氏が負けたのは、やはり「原爆しょうがない」発言がけっこう影響しているんじゃないだろうか。彼の発言は自民そのものの退潮を招いた要因の一つであるとともに、自らの選挙区の基盤をも弱体化させる結果になったのではないか。そういう意味では、彼は自滅したと評すべきだろう。

ところで、こういう情勢の中、なお自民が小選挙区で全勝した県がいくつかある。

以上の4県である。これに自民党の方が多く小選挙区を取った県を挙げると、以下の通りだ。ちなみにかっこ内は(自民議席数/総議席数)

  • 青森(3/4)
  • 富山(2/3)
  • 山口(2/3)
  • 愛媛(3/4)
  • 熊本(3/5)
  • 宮崎(2/3)
  • 鹿児島(3/5)*1

こうやってリストアップしてみると、あんがい自民も小選挙区議席を取っているんだなということがわかる。微妙なラインの岡山を除けば、以上の県には政令指定都市をもつ県は一つもない。要は、都市部の選挙区で民主が圧倒的に勝利しているのが、選挙全体の趨勢を決定づけているということだ。

逆に言えば、これらの県では民主優勢の状況にあって、敢えて自民を選択しているということだ。その大きな理由の一つには、公共事業などで自分たちの地域にカネを引っ張ってきてくれることを期待していることが考えられよう。

で、ここからが本題なのだが、民主政権になると、これらの県選出の衆議院議員は野党議員ということになる。自民党は、かねがね公共事業を地元に引っ張ってくることによって集票していたとされているが、これらの県では少なくとも小選挙区には野党の衆院議員しかいないことになる。ちょろっと調べてみると、今回自民が選挙区で全勝した4県のうち、福井県は参院議員も自民で占められている。ただ民主が比例で当選しているので、自県選出の国会議員が全員自民ということはなさそうだ。ただ、これまでみたいに与党議員に公共事業を引っ張ってきてもらうという手法は、自民勝利の県では使いにくくなるだろう。

そうなった時、果たして野党に転落した自民の支持基盤はどうなるんだろうか。むろん、公共事業だけが自民支持の理由だったわけではないだろうが、与党であるということに意義を見出し自民を支持していた人々は、長ければ4年間は「野党支持者」ということになる。与党支持を打ち出すことで仕事にありつきたいと考え自民を支持した土建業者などは、単純に考えて、4年間は「甘い汁」を吸うことができなくなる。

小選挙区制である限り、議席数が極端に増減するのは避けられない。となると、次の選挙でもこの制度でいくのだとすれば、「甘い汁」を吸うためには勝つ方を支持する必要がある。逆に言えば、自民をずっと支持し続けることが、必ずしも「甘い汁」にありつける必要条件ではなくなってくる、ということだ。

そもそも民主政権は、自民の土建政治のような、民主支持者に露骨に「甘い汁」を吸わせるようなやり方はとらないだろう。そして自民は野党なので、政府に働きかけて公共事業を引っ張ってくるような力を失う。となると、選挙に勝った方が「甘い汁」を吸わせてくれること自体が成り立たなくなってくる。そうなった時に、自民全勝県における自民党の支持基盤はいったいどうなるのか。

これまで与党であることを理由に自民を支持してきた人々は、再び「甘い汁」を吸わせてくれるよう、次の総選挙で自民を支持するということも考えられなくはない。だが自民の構造改革路線的な経済政策や財政の厳しさなどを考え合わせると、むしろ選挙の大勢に左右されることを嫌って、次の選挙では「勝ち馬に乗る」ような支持の仕方をしていくようになるのではないだろうか。こうなるともう、上記4県などでの極端な自民支持という傾向は見られなくなってくるだろう。

次の選挙で自民がどうなるのか。僕は、「甘い汁」を吸わせるために支持を取り付けるようなこれまでのやり方ではなく、今回の選挙で「生き残ってしまった」清和会の連中などを中心に、イデオロギー色を打ち出して極右化した政党になっていく可能性があるのではないか、という気がしている。イデオロギーで支持を取り付ければ、確かに「甘い汁」がなくとも堅い支持基盤ができあがるだろう。しかし与党であることに意義を見出していた大多数の人々は離れていき、小政党への道まっしぐらということになろう。

そういう点からも、上に挙げたような県で次回の選挙がどうなるのか、自民の得票がどういう傾向を示すのかという点について、興味深く眺めてみたいと思っている。

*1:あと、岡山は(2/5)だが、非自民の一人は平沼赳夫なので、ちょっと微妙なところ。