「桃尻娘」

桃尻娘

桃尻娘

橋本治の小説『桃尻娘』の一連のシリーズはよく知られていると思うのだが、このシリーズをTVドラマ化した番組があったことを記憶している人は、そんなに多くはないかもしれない。何の拍子にかこのことを思い出したので、ちょっと気になって調べてみたら、1986年2月に放送されてたらしい。
桃尻娘? 誰か覚えていませんか? - ドラマ | 教えて!goo
このサイトによると、監督が中原俊だったこともわかる。

たぶん僕はこの本放送を見ている。僕の記憶では高校生だったような気がしていたんだが、上のサイトの日時に長崎でも放送されたとすると(確かに2月だったような気がする)、まだ中学生だ。そして当時の僕は、主人公である「榊原玲奈」の暮らす“高校生活”と自分とのあまりの違いに、とにかく驚いた記憶がある。というか、この驚いたという思いがあるからこそ、1回こっきりしか見ていないこのテレビドラマのことを、僕は今でも強烈に記憶しているのだ。

少なくとも当時の僕の周囲に、そこで描かれていたような人物は一人としていなかったし、それどころか、そんな世界が存在する片鱗すら感じたことはなかった。そしてそれは僕が実際に高校3年になっても、やっぱり同じだった。僕にとって「榊原玲奈」の存在する世界は、ほとんど同じ世界だとは思えない、異次元の世界のように思えた。地方に生まれ育った僕の環境の延長上には存在しえない思考と感性でできている世界、ここまで言うと大げさなようにも思えるが、そのくらい、僕には衝撃的に感じられた。

今から思うと、むしろ何にそんなに驚いたんだろうという気すらするのだが、それは僕が東京に出てきて、この社会にはいろんな人がいろんなことを考えいろんなことをやりながら生きているということを、メタな知識として認識することができたからかもしれない。たぶんそれくらい、僕は狭い世界に生きていたんだろうな。

というわけで、ほんとに漠然とした抽象的なことしか書けないのが残念だが、その理由はこのドラマをそれ以来見る機会がなかったので、内容をよく覚えていないからだ。なんとかして一度は再放送を見てみたいのだが、どうやったら見れるのだろうか。