NHK土曜ドラマ「ハゲタカ」

冬のテレビドラマでは、大河と華麗なる一族を連続視聴体制で見ていた。大河はここ数年のホームドラマ路線を転換し、戦国時代を描こうとしている点がいい。正直言うと、戦国大名としての武田氏の史実についてはあんまり詳しくないので、個々のエピソードがどの程度史実を踏まえているのかはわからないんだけれど、初回の「村」の描き方なんかを見るに、なかなかいい感じだったように思う。オープニングの音楽や映像(黒の甲冑)もよいなあ。もう、大名同士の対面になぜか妻が同席してて「戦はいやじゃ」なんていう「平和主義」とか“戦国サラリーマン出世物語”みたいなのは勘弁してもらいたいよ。時代考証以前の問題として、安易な現代的テーマ設定は歴史ドラマをつまんなくしてしまう。

華麗なる一族」は、けっこう期待してたんだけれど、やや期待はずれ感が。キムタクだけ現代人になってるとか、キムタクだけいいヤツに描き過ぎとか…あれ、キムタクの話ばっかり(笑)。原作は読んでないんだけれど、どうも、原作を毒消しして薄めたんじゃないかという感じがしてならない。家族内部に焦点が当たりすぎてるのかなあ、今のところ、まるで豪華な昼ドラみたいになっちゃってるんだよな。もう少し、「華麗なる」の部分をきちんと描いて欲しいんだけれど、それは次回以降に期待かな。*1

今回見てるドラマで抜群におもしろいのは、なんと言っても「ハゲタカ」だな。90年代末から日本で活動した、いわゆるハゲタカファンドを中心に描いた経済劇。余計な色恋要素とかはまったく排除され、ハゲタカファンドと銀行、そして融資先の企業との関わりのなかでそれぞれの「論理」と生きざまとが丁寧に描かれている。今のところ一話完結的な物語構成になっているので、時間的な制約からか、融資先が不良債権化した原因・構造があまり突っ込んで描かれておらず、各企業の経営者を演じる俳優頼りになっちゃってる点が、不満と言えば不満。

ただ、それを差し引いても、「華麗」よりもはるかに優れた社会派ドラマになっている。

ハゲタカファンド日本法人代表の役を務める大森南朋の、過去の情に厚い若手銀行マンと現在のファンド代表とのギャップの演技はなかなかのもの。銀行の常務で陰の実力者役の中尾彬、融資先のおもちゃ会社社長役の富士真奈美、旅館経営者の宇崎龍童、その息子役の松田龍平、それぞれが非常に存在感がある。脇もきちんと固めてる感じ。演出も、ややコテコテ感はあるけど、またそれもよし。

ドラマがこれからどういう方向に展開していくのか、けっこう楽しみ。願わくは、このクオリティの高さを保って最終回までいってほしい。

*1:そうそう、どうでもいい話なんだけれど、ドラマ中で後ろ姿と声だけ出てくる祖父の敬介、声だけ聞いてると、風林火山で聞き覚えのある仲代達也じゃないかな、という気もするのだけれど、気のせい?でも、映画では彼が鉄平役だし、ありえない話ではないような気もするんだけど…。