東村山、正福寺地蔵堂。

一昨日は、渋る相方さんを無理矢理引っ張り出して、東村山の辺りにお散歩。まず、正福寺というお寺に。ここには、東京都内で唯一という国宝の建造物である地蔵堂がある。応永14年(1407)、室町時代初期の建立である。どうも同時代史料に乏しいらしく、はっきりとした由緒はわかっていないようだ。

お寺は、台地上に立地していたんだけれど、周囲が宅地化していて、しかも山門ではない方から境内に近づいたもんだから、いきなり本堂の屋根が見えてきたって感じだった。ただ、そういう事情を抜きにしても、寺院が立地するような地形上の必然性が感じられず、なんでここに寺院が位置するのかはさっぱりわからなかった。

山門からこの地蔵堂までの境内の雰囲気はなかなかよい。南北朝期の板碑もあり、中世から続く寺院の雰囲気が残されている。板碑の方は貞和5年(1349)の銘がある、関東でよく見られる形式。

また、戦後に増上寺から移築された石灯籠もある。

そうそう、この地蔵堂、禅宗用の建築物としてなかなか貴重な建物だとは思うんだけれど、こういう感じの建物だと、普通は重文指定かなという気がする。この建物がどうして国宝なんだろう(別に指定への批判的な意味ではなく)。関東における中世建築の希少さということなんだろうか。