「The Last Samurai」

ちょっと前に話題になったから、けっこう見てる人も多いだろう。

西南戦争を換骨奪胎して、(欧米人の期待する)武士道のお話にしたもの、といえば、話は早いかな。

ロケ地が海外なせいか、吉野の村とかいわれても、明らかに植生がおかしくって、ずいぶん変な感じ。播磨の書写山円教寺のシーンだけは、やっぱり日本だなって感じがしたけど。まあでも、そんなんも含めてフィクションだ、と言うことならば、まあしょうがないか。

でも、渡辺謙演じる勝元は武士。いくら日本の伝統的な生活スタイル云々とか言ったって、所詮は支配層。鉄砲や大砲の一つや二つ、持ってない方がむしろおかしいでしょ。250年も前にそういった武器に触れてるはずなのに。しかも、当初は新政府に協力した側の人間として描かれているのだから、なおさら、そういうものに触れてないという方が不自然。しかも、そもそもなんであんなに「武士道」にこだわらなくてはいけないのか、さっぱり理解できなかった。

そう考えてくと、勝元らの村の「伝統」なんて、所詮、近代の視点によって浮かび上がってきた、いわゆる創られた「伝統」でしかないんだよな。それをあたかもずっとそんな暮らしがなされてきたかのように描いているのが、あの映画の欺瞞的なところ。勝元の村の描写に、見てる最中からずーっと不自然なものを感じてきたんだけれど、結局はそういうことだよな。

ただ、日本人キャストは、総じてよくやっていたように思う。殺陣のことはよくわからないけれど、特に、真田広之は、武士の質実さがよく出ていた。子役の箸の持ち方が下手くそだったのには、現代を感じさせられたけど(笑)