「世界の中心で愛をさけぶ」

こっちは、岩井俊二の助監督を長く務めていた行定勲の監督。キャスティングの順番はともかく、内容的には長澤まさみ森山未來山崎努がメインかな。ちなみに原作は読んでません。

長澤まさみが魅力的に描かれてたなあというのが一番の印象。森山未來もそんなに悪くはなかったし、山崎努はいい味出してたな。彼が映画全体を引き締める役割を果たしてた。

映画の中身は、うーん、まあ定番のメロドラマパターンで、ストーリーというよりも設定そのものに「泣き」成分が多用されているので、ストーリーとして展開していけば、泣く人は泣くだろうなって感じ。同じ「昔の恋人が死んだ」パターンでも、行定監督が助監督を務めてた「Love Letter」の方は、最後の最後までいろんな仕掛けが散りばめられているのに対して、こっちは、途中で、というか前半三分の一でだいたいストーリーがわかっちゃって、しかもそれを裏切らない。もう少し作り込むことはできたんじゃないかなって気もするけれど、所詮その辺も原作によるだろうし。

ただし、映像は、相当に綺麗だった。とくにロケ地となった港町がすごくよかった。香川の庵治町っていう町らしい。写真館はセットらしいけれど、他にも魅力的な街並みや景色がいっぱい出てきた。少なくともここら辺にはこだわりを感じたな。映画の内容自体は正直あんまり魅力的には思えなかったけれど、あのロケ地には行ってみたいなって気がした。雨が降ってるシーンとかは、今年行った弓削島や大三島尾道なんかをちょっと思い出しちゃった。

僕としては、田舎の町の高校生っていう設定にも、若くして白血病っていう設定にも、個人的に相当思い入れがあるので、できればもっと構成をちゃんと組み立ててほしかったな、という残念感が残る。原作のせいなのかもしれないけど。それだったらしょうがないか。

ただ、同じ行定監督の「きょうのできごと」に比べると、なんか全体的に作りが雑って感じがしたのは、気のせいじゃないと思う。