「冷静と情熱の間」

あんまりのんびりしてる時間なんてないのに、ついつい映画見ちゃった。その感想。

うーん、画はいい。音楽も、まあそんなに悪くはないかな。でも、それがストーリーをごまかすためにしか思えないような、そんな感じ。

感想としては、ちょっとバイアスかかってるかもしれないけれど、オンナが夢を見たい映画?という印象を持っちゃった。

―ネタバレ注意!―
原作読んでないから、あくまで映画としての評価です。

僕自身は、恋愛映画はけっこう好きなんだけど、この映画はなんというか、ジャポンのオンナの欲望を綺麗に映画仕立てにしてみました、という印象を受けちゃった。

一人だけれど実は甘えん坊な女の子、自分のことをずっと思っていてくれる男の子。この設定自体、一般的に受け入れられやすいよなあ。しかもそれを台詞で説明しちゃうところも、なんだかなあだし。

僕自身はケリー・チャンもいい女だとは思ったけれど、映画の設定としては篠原の方がずっといい子じゃない。まあ、いい子だから好きになるってわけじゃないところが男と女なんだろうし、それはそれでわかるけれど、あの映画の設定から言えば、ふつうは篠原の方を選ぶでしょ?竹野内、かなりひどい男だな。ていうか、篠原可哀想すぎ。篠原のこと、ちっとも考えてない流れになっちゃってる。

まともな神経持ってたら、男はもっとちゃんと迷うでしょ。その辺の葛藤なんかをきちんと描き出せば、むしろ二人の10年という重みが伝わってよかったのに、あっさり篠原を切っちゃったせいで、単なるわがまま男になっちゃった。

でもあれ、オンナの目から見たら、理想的な男に見えるのかなあ?彼の人物設定もそうなんだけれど、あれだけ尽くしてくれる女の子がいたら、いくら10年の約束とは言え、たいていの男は最後の最後まで葛藤があるんじゃないかなあ。だってその後何年も会ってないんだよ?そうとう葛藤するはずなのに、それが全然描かれてないのは、単なる製作上の都合なのか、それとも「恋する相手に迷いはない」っていうオンナの感覚(だと思われてるもの)を積極的に男に投影した(風に作った)のか。

あと、けっこう肝心な場面のはずの10年後の約束、ちゃんと回想シーンに組み込んでおく必要があったんじゃないの?最後に付け足しっぽく出てきたのにはちょっと萎えた。テレビドラマじゃないんだからさあという感じ。

アラを探せばいくらでも出てくるとは思うけれど、まずありえないなと思ったのは、工房の修復師(技師とかに相当するのだろうから、字幕に出てた「士」ではなくて「師」でしょ、たぶん)の一番偉い先生が画を切り刻んじゃうっていうシーン。一番絵画を丁寧に扱おうとする態度を取るはずの修復師、しかも指導すべき立場にある人がそんなことするなんて、まず考えられない。さすがにこのシーンには無理があるなと思った。